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インプラントって①
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男性歯科衛生士(朝日新聞)
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ドライマウス(yahooニュース〔テレビ愛知〕)
2023年11月28日
口腔がん⑥
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親知らずの話①

「親知らずって抜かなければいけないんですか?」

ってよく聞かれます。

特に斜めになっている親知らずを残すメリットはほとんどなくてデメリットばかりです。

一番大きなデメリットは急に痛くなることがあることです。

このタイミングは、誰もわかりません。
一番奥にある歯なので、日常での歯磨きでは不十分なことが多く、虫歯になったり、周りの歯ぐきが不衛生になります。
少し、歯肉炎みたいにシクシクするなと思ったら、急に腫れて痛みがズキズキしてきます。

年末年始の前だったら・・・
(年末年始には近くの歯医者さんは休みの場合が多くて、緊急歯科診療所に行くしかない)

海外旅行中だったら・・・
(海外旅行の保険には歯科治療が含まれないプランもあるので、注意が必要)

大事な受験前だったら
(腫れた場合、薬を服用しますが、すぐに改善するわけではありません。私が学生だったころは、歯科医師国家試験前には抜いておくようにと大学側からのおすすめがありました。)

大学病院時代には、患者さんとともに色々悩んだケースがあります。

発展途上国に海外出張中で一時帰国しているが、親知らずが痛いが、次週にはまた出張に行く。帰ってくるのは来年。

ある程度の企業の海外出張の保険には、歯科治療が含まれますが、まずその国の歯科治療レベルが非常に低い場合・・・不安ですね。

妊娠中の親知らずの痛みがでたケースも、使用できる薬剤などに制限が出ることなどから、疼痛のコントロールに不安がありました。

虫歯の痛みの場合は、多くケースで抜歯以外に改善方法がありません。
この場合は、患者さん自身の都合などに合わせることはできないことが多いです。

ただ、結論の前に、大なり小なり親知らずを抜いて痛い思いをするのは間違いありません。
単純に怖いし避けたい気持ちはある人間ですから当然あります。
私個人も痛い思いは避けたい気持ちでいっぱいです。

結論として、歯医者としての考えとしては
『痛みがないうちに、自分の都合に合わせた日程で、計画的に抜歯をすることがオススメ』
と思います。

2022年09月10日

親知らずの話②

「親知らずって早く抜いたほうがいいですか?」

若いうちに抜歯することのメリットが4つほど頭に思いつきます。

①だんだん仕事や家族などで、まとまった時間が取れずに痛みがでても、抜歯に行けない
大学時代は、本当に大学生の患者さんが多かったです。大学生で、夏休み中、就活が終わって勤務が始まる前などの時期の患者さんが多かったです。
仕事を始めると、有給の日数にも上限がありますし、責任ある立場になると休めるタイミングが自分都合に決めればいことも多いです。

②親知らずの潜在的なリスクを持ち続ける期間が短くなる。
親知らずには現在症状がなくても、リスク(急に痛みがでる、手前の歯の虫歯、歯並びへの影響)などが潜在的に存在します。
痛みが出た時期に抜歯を行うというのも、患者さんの選択としては尊重します。
ただ、同じ方で40才で痛みがでて抜歯をした場合と20才で先立って抜歯した場合との比較をしてみます。
抜歯をしたという事実(心身に対するダメージ)は両者は変わらず、前者は20年間リスクを持ち続けたというロスがあります。
そのリスクの影響の大きさには個人差がありますが、後者はこの先親知らずのリスクはないという得があります。
この得というのは実感するには難しいですが、実際手前が虫歯になってしまった方にとっては、明確なロスと認識しやすいです。
正確な先読みは不可能なので、親知らずを抜かずに、歯や歯並びに影響が全くでずに生涯貫けるというのは・・・どうなんでしょう・・・

③抜歯を抜いた後の治りが良い。
日々の臨床では、抜歯をあとの歯ぐきの治りや、抜いた穴のふさがりのスピードに差を感じます。
若い方は抜歯後の反応が早く、治癒へのスピードが良いと感じます。

④抜歯がしやすい
これって、歯科医師側のメリットでもあるんですが、患者さんにとっても施術時間が短く済むことが多いです。
親知らずは、25才前後まではえようとする力が豊かです。
そのため、周囲の骨なども含めて固定されていないことが多く、抜くときの硬さに差を感じます。

2022年11月04日

親知らずの話③

「親知らずを抜くときのリスクって何ですか?」

細かくは直接聞いていただくか、ホームページの親知らず抜歯のページに記載しています。

腫れる、痛い、血がでるなどのリスクは、今回は記載せず3つ大きなリスクを記載します。

①感覚神経麻痺(触った感じがなくなるか、鈍くなる)
親知らずの周囲には、下唇と舌の触った感覚を受け持っている神経が存在します。
下歯槽神経、舌神経といいます。
動きを受け持っている神経は別途存在しますので、動きには影響はでません。
が、触覚がないというのは違和感が多く、初めは動きの不自由さを感じる方がほとんどです。

大学病院勤務時代、私が施術してこの麻痺が発生したことがあります。
若い方で、そこまで神経の走行が複雑な患者さんではなかったですが、発生しました。
この症状はある程度期間がたち、麻痺が固定した場合、治ることはほとんどありません。

どれくらいで確率で発生するのか聞かれますが比較的最近の文献では
下歯槽神経麻痺が4.1~3.9%、舌神経麻痺が6.5~0.4%程度と記載がありました。
2年経過後、下歯槽神経麻痺は0.7%に残遺、舌神経は1.0%に残遺していたとも記載があります。
うちの大学で統計を取った際は、少しこの文献よりは低かったですが、大差はありません。

リスクを完全に回避することはできないですが、CTを撮影することで、リスク評価は非常に大事であると思います。

②ドライソケット
抜歯を施術した部位の治癒過程が上手くいかなかったことで、強い痛みが続く状態です。
だいぶ昔の文献ですが、発症率は5.5%前後で、20歳以上の施術症例は発生率に大差はないという統計がありました。
追加の処置が必要になることも多いです。

2つイメージが付きにくいリスクを記載しましたが、細かいリスクや非常にまれなリスクも存在します。

これらのリスクは怖がらすために説明しているわけではありません。
おそらく30年以上前なんかは、なんの説明もせずに抜歯をしてたんでしょうが、今の時代は患者さんにも選択お願いします。
抜く、抜かないという選択がある以上は、ある程度代表的なリスクを知っておいて選択しなければなりません。

これで親知らずシリーズは終わりにします。

2022年12月03日

2年経ちました。

地域の皆さんに支えられながら、2年間なんとか治療をしてきました。

どうでしょうか?

満足して頂けてたら、嬉しいと思う半面、何か当院に対して要望がありましたら、ご指摘ください。

患者さんからのフィードバックがあれば、より良い歯科医院に出来るのではと思ってます。

 

今日から再度ブログの更新に努めようと思ってます。

 

まずは虫歯治療について、何回に分けて、昔の今の違いなどを視点に次回から記載していこうと思ってます。

2023年10月16日

むし歯治療について①

虫歯治療の代表格となっているコンポジットレジンがあります。
日本での発売は50年弱前からとなっています。
歯医者さんで「白い詰め物ですぐに治しましょう」って言われたときに大体使う材料です。
実際の臨床では30年近く前から、よく使われるようになり今ではなくてはならない材料です。

レジンという材料は非常に使い勝手が良いため、歯科以外のところでもよく使われるようになりました。

レジンは簡単に言うと、プラスチックです。
プラスチックがかなり曖昧な定義のため、イコールではないです。
レジン=樹脂となります。

2023年10月18日

虫歯治療について②

最近3Dプリンターが家庭用でも流行りだしてます。
実は僕も2つ家庭用3Dプリンターを自宅に持ってます。
この家庭用の3Dプリンターの材料もレジンが多いです。
もっと身近なのが、女性がマニュキュアで使うこともありますね。
爪に塗って、青色の光を当てて固めるやつです。

歯科で使うコンポジットレジンとはなんなのか?
コンポジットとは複合という意味なので、レジンに他の物を混ぜたものになります。

フィラーと言われる非常に硬いセラミック粒子を多く混ぜて通常のレジンでは考えられないほど硬くします。
マニュキュアで使うものと同様に青い光を当てると固まるため、歯の造形にしやすい材料です。
虫歯を削った部分だけを補填(充填)するれば良いので、それまでの金属での虫歯治療より歯を削る範囲は狭くなります。

2023年10月21日

虫歯治療について③

虫歯治療で伝統的な治療としては金属を使用する治療です。
金属を使用すると言っても、非常に優れた合金を使用します。

金銀パラジウム合金を使用するのですが、なんといっても歴史が長いです。
そのため、口の中の湿気満載ですし、色々な液体にさらされます。
コーラだったら酸性、牛乳などはアルカリ性ですね。
ある程度時間がたつと唾液が、中性に戻そうとしてくれますが、飲んだ瞬間はそうもいきません。

金属は劣化するものです。
なので口の中でも長期間劣化しにくいものとして昔から使用され、かつ歴史がその有用性を示しています。

2023年10月23日

虫歯治療について④

金属ですが昔から使ってるものでゴールドを使用します。
大体昔から18金か20金を使用しますが、口の中での安定性を考えた金属を混ぜます。

このゴールドは、長期的な口腔内での安定性とギャップ(段差)などが起きにくいです。
歯と歯の間の虫歯はなりやすため、奥歯の部分的な金属の詰め物では、ほとんどの歯医者さんが機能的な面だけをみればお勧めするはずです。

ただ、今(令和5年後半)でもそうですが、金は常に値段が上がり続けています。
20年前から今に至って、多少の誤差はある年もありますが、常に上がっています。
それもあって、ゴールドによる歯の詰め物は非常に高価な治療となっています。

あとは価値観が変わりましたよね。
今の若い世代にゴールドの歯が奥歯に見えたら、どうなんでしょう・・・
かつては、前歯ですらゴールドにしてくれと言われた時代があったあのですが。

2023年10月25日

献馬奉納行事

image62

日進市にはいくつかお祭りがあるようです。

まだ日進市の新参者の僕は詳しくないのですが、地域としては子ども会のお祭りと献馬奉納行事があるようです。

この二つには開院後は毎年、支援をさせて頂いています。

他には、にっしん夢まつりがあります。

花火は打ちあがるので、結構人気の祭りですね。

ただ市のHPをみるとまだ他にも祭りがあるようです。

今後はにっしん市民まつりに参加してこようと思います。

 

2023年10月27日

ラジオって聞きますか?①

私個人的な話ですが、ラジオを聴くのが好きです。はがきやメールを送るアクティブなリスナーではないですが。
学生は東京で過ごしていたのですが、そこで「アンタッチャブルのシカゴマンゴ」に出会って聴いてました。

芸人さんがやるようなラジオは深夜にやっており、寝不足になるんですよ。
毎日聞いていたら、学業に影響がもろに出そうなので、シカゴマンゴのみ聞いてました。

ただ、2010年にはシカゴマンゴも終わってしまって、名古屋に研修医として帰ってきたのを境にあまり聞かなくなってました。
ラジオってその地区の放送局が採用してないと、聴けないんですよ。

ラジオ熱が再燃したのは、5、6年ほど前からで、Iphoneでラジコ(radiko)アプリでで聴取できることを知ってからです。
それも、エリアフリーでタイムフリーときています。有料ですが。
出張や遠方の仕事も多くて、車移動が多くなり、車内でラジオを流すようになりました。

2023年10月30日

ラジオって聞きますか?②

バナナマンのバナナムーンゴールドですが、非常に面白いですね。
くだらない話やイベントも多いのですが、そこが何気なく聞くラジオとしては非常に聞き心地良かったです。
あと、日村さんのオークラさん(作家)のおかげもあって、番組内では非常に歯の話が多いですね。
初めは、専門なので楽しく聞いていましたが、呆れるぐらい多いです。
しかし、こんなに口の中に興味を示してくれる番組も少なく、嬉しくもありますね。

他には、ハライチのラジオは出来るだけ聞いています。

radikoアプリの使い勝手などとかは時々言われているようですが、あまりフリーな仕様にするとラジオコンテンツの権利問題にも引っかかるんだと思います。
個人的には、聴けるだけでも御の字です。

2023年11月01日

歯の被せ物(差し歯)について

9年前に歯科の保険適応の被せ物に衝撃が走りました。

CADCAM冠です。

それまでは、金属での被せ物しかできなかった歯に白い被せ物が保険適応となったのです。
そして、数年前からその範囲は大幅に拡大され、条件がありますが、一番の奥のほうの歯以外は保険適応となりました。
1つの歯を単体で被せることが条件ですが、歯の被せ物で白くできないことはなくなってきています。

ただ、時々割れます。
それなりに厚みを持たせて被せ物を作るのですが、金属と違って奥歯に適応すると割れます。
割れない方もいるので、絶対ダメってことはないですが、割れる可能性を考えて入れる必要性があります。

2023年11月04日

歯科医院って多い?①

「歯医者さんは、コンビニよりそこら中に見かけるね」

って開業当時はよく言われました。

「はい、コンビニより多いです。」

最近のデータはまだ出てないことも多いですが、ここ数年のデータで比較して
歯科医院数が68000件程度、コンビニが58000件程度です。

コンビニって近くにあって便利的なイメージですので、比較しやすいですよね。

歯科医院の数って実は昔から多いんですよ。
30年近く前からすでに55000件程度あって、徐々に増加傾向でしたが、最近は減少する年も散見します。
令和2年調査では600件以上の減少となっています。

 

院長

前田道徳

名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。

同大学の医学博士。

日本口腔外科認定医。

2023年11月07日

口腔がん①

時々、芸能人なのが罹患し話題となります。

なので、最近では聞かれることは減りましたが、かつては

「口の中にがんってあるの?」

って驚かれることも、それなりにありました。

がん疾患全体の1%程度と言われているため、

口腔がんが身近に聞くことはないと思います。

②へつづく

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。

米の木まえだ歯科

日進市米野木町丁田119-4

TEL:0561-73-2211

 

2023年11月08日

口腔がん②


実際はもう少し多くの方が口腔がんに罹患すると思われます。

2019年の調べですが、診断された患者数は23,671例と報告されており

年間100万人近い方が、がんに罹患すると言われていると言われており、

2%前後は診断されるのではないかと計算されます。

2019年での統計では、皮膚がんや子宮頸がんよりも多い症例数となります。

③へつづく

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2023年11月10日

口腔がん③

以前、日本の歯科医院は68000件以上あると記事にしましたが、

計算すると年間で3件の歯科医院で1件では、口腔がんの患者さんがいる可能性があります。

あくまで計算上ですし、耳鼻科でも口腔がんは診断されるのでもっと少ないと思いますが、

個人的には大学病院で口腔がんの現状をよく診てきたので、

日々の診療でも、「この口内炎や頬のただれなどは、がんかもしれない」

頭にいれて診療するようにしています。

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2023年11月13日

口腔がん④

一言で口の中のがんと言っても、発生する部位は様々です。

一番多い部位はべろ(舌)で4割以上を占めます。

そのほかに、歯ぐき(歯肉)、上あご(口蓋)、べろの下(口底)、くちびる、顎下、頬の粘膜、のど(咽頭)。

口の中って、何かの拍子で痛くなったり、血が出たりします。

口内炎や歯肉炎、時には火傷、食事中に咬んじゃったりと。

日常に起こるので、そのうち治るだろうっていう感じに思ってしまいます。

僕らの世界でよく言うのが、2週間治らない口内炎は注意が必要とか言われますが、

個人的には1週間で改善しない口内炎は早めに歯医者さんか耳鼻科さんへ診てもらったほうが良いと思います。

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2023年11月17日

口腔がん⑤

口腔がんは見た目でわかるのか?と聞かれますが、何とも言えません。

色々ながん症例を診てきましたが、がんだと確信することもありますが、

悩ましい所見だと思うこともあります。

口の中は視診がしやすい部位であるため、視覚的に判断出来たらよいと思いますが、

不確定としか言いようがないです。

確定のためには病理組織検査をするしかありません。

当院では、病理組織検査を導入しています。

視診でがんだと確信に至る場合は、病理組織検査も大きな病院にお願いする場合が多いですが、

日々の診療で、悩ましい所見の場合は、自院で病理組織検査を行います。

 

前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2023年11月24日

口腔がん⑥

口腔がんシリーズのコラムはこれを最後にしようと思います。

色々記載しましたが、変に長く続く口内炎などは放置せず、まずは近医へ。

今はGoogle先生に聞けば、大概の知識は手に入りますが、

その知識はただただ不安につながるばかりです。

がんという言葉は不安の塊と言ってもいいでしょう。

調べて様子見をせず、まずは近医に相談してみてください。

あと、皆さんには口の中にもがんがあることを認知して頂くことが重要かと。

皆さん、胃がん、肺がん、乳がんなどは恐れて症状があれば、

早めに受診すると同じようになることが重要です。

 

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
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2023年11月28日

ドライマウス(yahooニュース〔テレビ愛知〕)

冬は要注意「ドライマウス」 対策を専門家に聞く 「グミやガムを生活に取り入れる」「口呼吸を減らす」

 

少し趣向を変えて。Yahooニュースをちらちら診てたのですが、歯科関連の記事を参照しながら、コメントを書こうかと思います。

ドライマウスと一言でいっても原因がさまざまです。

疾患によるもの(自己免疫性疾患)や、薬剤性、単純に脱水症状など。

アメリカだと約25%だそうです。
多いですね。

食生活に差があるので、何とも言えないですが、日本でも多いかと思います。

ただ、私が以前より思っていることがあります。

日本人は水を飲まない人が多い。

必要な水の量などは、活動量によってかなり違ってきますが、

ふつうに生活していれば、汗、便、呼気からもかなり排出されています。

女性が多い気がしますが、飲む水分量がすくなく、軽く脱水となり、口の中が乾く方がいます。

特に夏と冬などには顕著かと感じます。

飲む水分量って個人それぞれで、正確に尿量を測定できるわけではないです。

少なすぎてもいけないですが、多くてもいけないのが難点です。

食事中にはコップ1杯の水分は摂取できると良いと思います。

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
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2023年12月04日

男性歯科衛生士(朝日新聞)

県内初 男性の歯科衛生士誕生 高まるニーズに「目標とされたい」

 

朝日新聞に岐阜で初めて男性歯科衛生士が働きだしたという記事がありました。

看護師さんの世界ではだいぶ男性看護師さんが浸透してきたような気もしますが、

医療関係者以外の方からするとそうでもないのだろうか。

 

男性歯科衛生士はまだまだレアな存在で、現在は全国で91名だそうです。

看護師さんもそうですが、歯科衛生士もまぁまぁーな体力仕事です。

昔は、アシスタントが女性という古い価値観でしたが、

男女問わず、活躍できる職業は多数あります。

 

いつか、男性歯科衛生士さんとも一緒に働いてみたいものです。

 

院長
前田道徳
日本口腔外科認定医。
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本臨床栄養代謝学会所属
日本頭頸部癌学会所属
日本化学療法学会所属
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2023年12月06日

インプラントって①

インプラントについて説明すると、怖い、痛いといった感想を頂くことが多くあります。

まぁー普通に考えて、骨にチタン製のネジを打ち込みますって言われたら、怖いか・・・

とはいえ、痛みに関しては麻酔をすれば、ほとんど気にならないと思いますし、術後も普通に歯を抜いた後の痛み程度で、鎮痛剤で十分コントロールが聞く範囲だと思います。

よく言いますが、下あごの親知らずを抜歯するほうが技術的には難しいと私は思っています。

 

院長
前田道徳
日本口腔外科認定医。
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本臨床栄養代謝学会所属
日本頭頸部癌学会所属
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2024年02月16日

AI活用について

久々ですが、再開します。

もう数年前からAIチャットボットが身近な世界になってきました。

私もchatGPTは、よく使います。

このホームページの修正案なども頂いていますが、エンジニアじゃないのでよくわからないことも多いです。

ただ、エンジニアに直接聞かなくても、ある程度のことは教えて貰えるので非常に助かります。

もっと若い人にとっては当然なツールなのかもしれません。

私も比較的パソコンに馴染んで生きていきましたが、さらに進んでいるんだと思いますね。

最近はAIチャットボットを使って、LINEで自動応答する歯科のサービスを聞きます。

そこで、少しの間、chatGPTやGEMINIに歯科の質問をしてみて、正確に返ってくるか検証したいと思います。

歯が痛いけどどうすれば?などの一般的なことだと、かなり一般的な回答しかでないので、少し専門的な質問をします。

ちなみに歯が痛いけどどうすれば?って質問したら、鎮痛薬を飲む、冷やす、清潔にする、速く歯医者に行くって返ってきました。

まぁーそーですよねって感じですね。昔は、正露丸を丸めて詰めるってよく言われてましたが、おばあちゃんの豆知識みたいな回答はないようです。

 

「舌のヒダが短いっていわれたんだけど、どうすればいいですか?」

👉

chatGPTの答え。

舌のヒダ(舌小帯〈ぜっしょうたい〉)が短いと言われたということですね。 これは「舌小帯短縮症(たんしゅくしょう)」と呼ばれる状態で、舌の動きが制限されることで、 発音がしにくい 舌が前に出しづらい 授乳・飲み込みの問題(乳児の場合) 歯並び・噛み合わせ・口呼吸の影響 などが起こる場合があります。ただし、“短い=必ず治療が必要”というわけではありません。

治療

① まずは専門家の診察を受ける 以下のどれかに該当する医療機関が最適です。 歯科(特に小児歯科・矯正歯科) 口腔外科 耳鼻科(必要に応じて) 舌の可動範囲を実際に見てもらって、 「日常生活に支障があるか?」 「切開(舌小帯切除)が必要か?」 を判断してもらうのが確実です。

② 発音や食事に問題がなければ、基本は経過観察 舌小帯が短くても、生活上困っていない人は多いです。 多くの場合、成長とともに自然に伸びたり、使い方で柔らかくなったりします。

③ 問題がある場合:治療という選択肢 症状があり、舌の動きに明らかな制限がある場合は以下があります。 ■ 舌小帯切除 数分で終わる処置 歯科・口腔外科で行う 子どもは麻酔下で、成人は局所麻酔で可能 その後は舌トレーニングが必要 ■ 舌トレーニング(軽度の場合) 舌を上あごにつける練習 口の周りの筋トレや発音練習 これだけで改善する例もあります

もしよければ、次の質問に答えていただければ、より具体的にアドバイスできます。 舌を前に突き出すと、先がハート型になりますか? 発音(サ行・タ行・ラ行)で言いにくい音はありますか? 食べづらい・飲み込みにくい・口呼吸などの症状はありますか? お医者さん(歯科?耳鼻科?)からは「治療した方がいい」と言われましたか?

👉

ほとんど合ってますよね。最近のAIチャットボットはすごいですよね。

子供の場合、大体は保育園や学校の歯科健診で試適を受ける子が多いです。

幼児期の場合、哺乳に問題があれば、切除適応です。

学童期以降は、発音に問題があれば、切除適応です。

切除は、色々なやり方がありますが、子供場合は部分麻酔にて電気メスやレーザーで切除します。

大人は、後戻りも多いのでメスで切開し少し変った方法で縫い合わせます。人によっては全身麻酔で行う方もいます。

舌トレーニングは、本当に軽度の場合で、あまり問題とならない方が多いです。

返しもいいです。舌の突出時の形状や特に舌の上方への運動が必要な発音について聞いてます。

chatGPT恐るべし。

次回はもっと専門性の高い質問でもしてみましょう。

目指せAIに代替されない歯医者へ。

 

院長
前田道徳
日本口腔外科認定医。
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本臨床栄養代謝学会所属
日本頭頸部癌学会所属
日本化学療法学会所属
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

 

 

2025年11月15日

歯が痛い時の診断chatGPT

(>_<)「歯が痛いんですが、虫歯ですか?」

歯が痛い=必ず虫歯、とは限りません。
痛みの種類や状況を聞くと、かなり絞り込めます。

🦷 考えられる原因(代表的なもの)
1. 虫歯(う蝕):冷たい物・甘い物がしみる。ズキズキする。放置すると夜に強く痛む。食べ物が詰まりやすい
多くの歯痛の原因ですが、必ずしも見た目に穴が見えるとは限りません。

2. 歯髄炎(神経の炎症):温かいものでも痛い。何もしていなくてもズキズキ。夜中に強くなる。虫歯が神経まで達した状態。

3. 歯周病・歯ぐきの炎症:噛むと痛い。歯ぐきが腫れている。歯が浮く感じ
40代以降ではこちらも非常に多いです。

4. 噛みしめ・食いしばり:朝起きたとき顎や歯が痛い。特定の歯だけ痛い。ストレスが多い時にも起こる

5. 副鼻腔炎による痛み
上の奥歯が痛むとき、原因が歯ではないことがあります。

📝 もしよければ、次の質問に答えてもらえると原因をかなり絞れます

以下に答えていただけますか?
どこの歯が痛いですか?(右 or 左、上 or 下、前歯 or 奥歯)
痛みの種類は?
 (しみる/ズキズキ/噛むと痛い/何もしてなくても痛い)
いつから痛いですか?
腫れ・熱・違和感はありますか?
最近食いしばりやストレス増加はありますか?
答えていただければ、「虫歯の可能性が高い」「歯周病の可能性」「神経の炎症」「別の原因」など、より正確にお伝えできます。

"(-""-)"「右上が3日前からズキズキと痛いです。熱いものを食べたりすると痛みが増します。」

ご説明ありがとうございます。
右上で、3日前からズキズキ、温かいもので悪化 → この症状はかなり典型的で、可能性として最も高いのは 歯髄炎(神経の炎症) です。

🔍 考えられる原因の優先度
🟥 最有力:歯髄炎(虫歯が神経まで進行)
特徴がほぼ一致します:ズキズキする。温かい物で痛みが強くなる。何もしていなくても痛みが出ることがある。夜に悪化しやすい
虫歯が深いところまで進んで神経が炎症を起こしているサインです。

🟧 次点:歯根膜炎(噛むと痛い場合)
もし噛んだ時にも痛みがあるなら、炎症が根の先まで広がっている可能性もあります。

🟩 可能性が低い例
歯周病 → ズキズキ+温かい物で痛む、という組み合わせはあまりない
副鼻腔炎 → 温かさで悪化する痛みではない
食いしばり → 温熱で変化しにくい

🩺 結論
虫歯が神経まで達している可能性が高く、早めの歯科受診を強くおすすめします。
放置すると、痛みが急に強くなる。腫れる。根の治療がより複雑になる。などのリスクがあります。

⏳ 今日〜明日できる応急対処
強い痛み → 市販の痛み止めが有効(ロキソニン等)。温かい物を避ける。寝る時は頭を高くする(血流が減るので痛みが軽くなることが多い)。右上側で噛まない

❓ よければ教えてください
より正確に判断できます:
噛むと痛みは増えますか?
しみる痛み(キーンとする)はありますか?
腫れや違和感はありますか?
どのレベルかによって、
神経を残せる可能性
神経を取る治療が必要か
なども推測できます。

(''_'')「咬むと痛みが増します。」

噛むと痛みが増す、という追加情報ありがとうございます。
「ズキズキする痛み」+「温かい物で悪化」+「噛むと痛い」
この3つが揃うと、診断としてはかなり絞られます。

🟥 最も可能性が高い状態:急性歯髄炎 → 歯根膜炎に進行している段階
虫歯が神経(歯髄)まで達して炎症を起こし、その炎症が根の先周囲(歯根膜)にまで波及し始めた状態です。

典型的な症状:ズキズキする。温かいもので悪化。何もしていなくても痛むことがある。噛む時に響くように痛い(歯根膜炎のサイン)。寝る前や夜間に痛みが強くなることも多い。この症状の組み合わせは、虫歯が神経まで達した時の非常に典型的な痛み方です。

🩺 治療として最も可能性が高いのは「根管治療(神経の治療)」
歯を残すための治療で、神経を取り除き、内部を洗ってきれいにし、再感染を防ぐ処置です。
放置すると:激痛(日を追うごとに悪化)。歯ぐきの腫れ(膿)。発熱。などが起こる可能性があります。

⏳ 歯医者に行くまでの応急処置
痛む側(右上)で噛まない。温かい物を避ける(痛みが悪化しやすい)。市販の痛み止め(ロキソニン等)。冷やしすぎは逆効果。寝る時は頭を高くする(痛みが和らぐことがあります)

❗ 受診は早めがベストです
状況的には「我慢して様子を見る」段階は過ぎています。
早く治療すれば、痛みもすぐ楽になります。

 

👆おおもね合ってますが、一部訂正が必要かと思います。

歯を見ずにこれだけの症状を聞いた場合、根っこの先まで行きついた歯髄炎を考えますが、それ以外にも十分考えます。

可能性が低い扱いとなっていますが、根っこの先で膿が溜まった場合も、症状としては十分に考えられます。

炎症が強い部分は熱いものが触れると血流が良くなり、痛みは強くなります。

歯周病も急性化すると、こちらに当てはまる症状が出ます。

結局は、診察しレントゲンを取って診断しないと何とも言えません。

ただ、最後の方の放置すると悪化していく可能性は十分にあり、我慢して様子を見るの段階は確かに過ぎていますね。

2025年11月17日

献馬奉納行事


今年もお馬さんが歯科医院に来ました。

毎年支援させて頂いていますが、お馬さんは毎年思いますが、迫力がありますね。

小柄なお馬さんだと思いますが、近寄れないですね。


院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2025年11月19日

薬剤関連顎骨壊死①

(>_<)?「骨粗しょう症でボナロンを内服していますが歯医者さんで抜歯をしていいですか?」


GEMINIの回答です。


ボナロン(主成分:アレンドロン酸ナトリウム水和物)は、ビスホスホネート系薬剤という種類の薬で、抜歯などの歯科治療を行う際に、まれに顎骨壊死(がくこつえし)という副作用のリスクが高くなることが知られています。

しかし、一律に抜歯ができないわけではありません。大切なのは、必ず歯科医師にボナロンを服用していることを伝えることです。

🚨 重要なこと
歯科医師に「ボナロン」を服用していることを必ず伝えてください。

骨粗しょう症の主治医(ボナロンを処方している医師)と歯科医師が連携して、治療方針を決める必要があります。

🦷 抜歯の判断について(一般的な情報)
一般的なガイドラインでは、ボナロンの服用状況やその他の要因によって、抜歯をするかどうかの判断や、薬を一時的に休止する期間などが検討されます。

服用期間が3年未満で、ステロイド剤などの併用がなければ、特に問題なく歯科治療を受けられることが多いです。

服用期間が3年以上の場合や、ステロイド剤などを併用している場合は、休薬が可能であれば、少なくとも3ヶ月間はボナロンを中止してから抜歯などの処置を受けることが推奨されることがあります。

ただし、これはあくまで一般的な情報であり、あなたの全身状態、骨粗しょう症の状態、抜歯の必要性、服用している期間、他の薬の併用状況など、個別の状況によって判断が異なります。

✅ あなたが取るべき行動
歯科医師に予約する際、または受診した際に、ボナロンを服用していることを明確に伝えてください。

骨粗しょう症を診てもらっている主治医の名前と連絡先を歯科医師に伝えて、連携を取ってもらいましょう。

歯科医師は、これらの情報に基づき、安全に抜歯を行うための最善の計画を立ててくれるはずです。

ご心配な点があれば、まずはボナロンを処方されている主治医にも相談してみると良いでしょう。

以上です。

ビスホスホネート製剤(以下、BP製剤)は歯科の外科治療の際に、よく言われる内容です。

そこで、かなり専門的になりますが、ガチコラムとなります。
①困ったことに歴史があさく、ガイドラインがない。
これが困る要因となります。
BP製剤が使用され始めたのは、90年代に大規模試験が行われ、そこから数年後から日本でも使用され始めました。
薬剤関連顎骨壊死(以下、MRONJ)が報告されたのは、2003年にMarxが報告し、2004年には骨粗しょう症で使用されるBP製剤でもMRONJが報告されました。
それ以降、様々な薬剤が発売され、同様な報告がされ、2014に初めてアメリカでポジションペーパーが、それに伴って2016年に日本で初めてポジションペーパーが公開されました。
ポジションペーパーって何?って思われるかもしれませんが、学会の「見解」「主張」で、ガイドラインみたいな「行動指針」ではないものです。
つまり、こうすればよいとという手順が書かれているわけではないです。

とは言え、ポジションペーパーは学会が、多数の論文の理論、議論を重ね、公開しているので診療には役立ちます。

とはいえ、私が口腔外科で働きだしたときには、このポジションペーパーもなかったのです。
AAOMS(アメリカの学会)からポジションペーパーが出た際は、時間かけて英語を読んだ記憶がありますね。

つまり、10年前は、だれもが如何すれば良いかわからず、それ以降も、明確な答えは出ていないのが現実です。

ちなみに日本では2023年改訂ポジションペーパーが最後です。

②MRONJの原因の薬剤
初めは、MRONJじゃなかったんです。
BRONJと呼ばれており、その後にARONJと呼ばれ、最新はMRONJと名前が変更されていきました。
頭文字の単語が広範囲になったんです。
ビスホスホネート→骨吸収抑制薬→薬剤

あっDRONJってのもありましたね。

当初はBP製剤特有の副作用とされていました。
BP製剤は、癌の骨転移、高Ca血症、骨粗しょう症に使われます。
骨は、常に代謝されており、骨芽細胞が骨を作り、破骨細胞が骨を吸収しを繰り返しているんです。
BP製剤は、骨の中に吸収され、そしてそのBP製剤入りの骨を破骨細胞が吸収すると、破骨細胞がアポトーシス(消えちゃう)するんです。
それによって、破骨細胞の数が失われ骨の吸収は抑制され、骨芽細胞が骨を作り続けることにより骨が硬くなるといった感じです。

骨が物理的に硬くなると癌細胞は、骨の中に入り込めなくなるので、骨転移にも有効です。
骨芽細胞が骨を作り続けると、血中のCaを骨の中に取り込み続けるということになるので、高Ca血症にも有効です。

ただ知って頂きたいのは、骨粗しょう症と骨転移の際に使うBP製剤の量はかなり違います。
どちらもゾレドロン酸という薬効成分を使う薬剤がありますが、
骨転移の際は、4mgを毎月投与します。
骨粗しょう症では、5mgを一年に一回投与します。
年の使用量は9倍以上違います。
別物と考えて頂くのが良いかと思います。

この後に抗RANKL抗体が出てきました。通称デノスマブです。
これは、RANKLが破骨細胞の分化・成熟を促す役割を担っています。
破骨細胞のRANKLとつながる部分にデノスマブが割り込んでしまうことで、破骨細胞を抑制する薬剤です。
2012年に骨転移用に出た際は、おいおいBP製剤でもMRONJの副作用がいまいちわかってないのに、さらに新しい薬かと思ったものです。
2013年には、骨粗しょう症の対する薬剤も承認されました。
これも、使用量はかなり違っており、骨転移には120mgを毎月、骨粗しょう症は60mgを半年に1回です。
こいらは年間で12倍ですね。

その後からは、ベバシズマブやスニチニブなどの血管新生阻害薬にも報告され、免疫調整役にも報告されています。
なので、薬剤全般に関連した顎骨壊死と名前を統一し、呼ばれています。

③顎骨壊死とは?
抜歯などに限らず、骨表面が口腔内に8週間露出した場合に診断されます。
ただ、ポジションペーパーでは、画像診断か骨壊死を認める症例は、骨露出を共わなくても、MRONJと診断することを支持するとされています。

顎骨壊死はstage分類されており、1~3あります。
stage1の診断はあまり見受けられません。感染が伴わないので、見受けれらないかと。
stage2とstage3は範囲の違いで診断されます。

ポジションペーパーではstage0に関しても明言されていますが、診断に困る状態ですね。

画像診断でと書かれていましたが、かなり難しいです。
明らかな、遊離骨(骨壊死がおき、健康な骨から離れていくこと)があれば診断が付きやすいですが、それ以前は難しいです。
明確に診断するには、MRIか骨シンチグラフィー、SPECTが必要かと思います。
これらは総合病院でしか診断できませんね。SPECTとかは対応できない病院もあります。

組織採取しての診断は、現状では難しいという報告もあり、病理診断の評価は慎重な姿勢が必要です。

 

次回は、なぜおきるのか?に注目してPart②を書きたいと思います。

 

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4
TEL:0561-73-2211

2025年11月22日

薬剤関連顎骨壊死②

前回に続き、MRONJのお話です。

なぜ発症するのか?

おおまかには分かっていますが、本当になぜなのかはまだ明確に解明されていません。

今回はかなり個人的な見解やエピソードを書きます。

これらは、日々日々研究が進むため、古くなり間違った見解になったりするので、ご注意して下さい。

 

④なぜ顎に生じるの?
色々議論がありますが、個人的な見解のみを書いておきます。
口腔内は、皮膚ではなく粘膜であり、筋肉に囲まれていない骨だからと思います。
粘膜は、皮膚と違い比較的や柔らかく、薄い部分が多いです。
骨が硬くなるということは、骨の中のすかすかした部分が減るということです。
すかすかした部分というのは血管や神経など様々なものが通る部分でもあります。
ガラスのように硬くなった骨は、中の血流が非常に乏しくなります。
そのため、骨の上にある粘膜に血流が供給されなくと壊死し骨露出をきたします。
口腔内は、ばい菌だらけです。骨露出すればすぐに感染の餌食になるでしょう。
他の部位では、非常に血流豊富な筋肉に覆われています。
こつからの血流が乏しくても、代替する場所から血液を得ることができるからではないかと思います。

頭の骨も放射線治療後などに骨壊死をきたすことがあると言われています。
頭の一部は筋肉に覆われていないからでは?と考えています。

⑤リスク因子は?
多数のリスク因子が指摘されていますが、どの程度なのかというのはまだ検証されています。
局所的には、歯周病、抜歯、口腔衛生状態、義歯の適合度
全身的には、糖尿病、自己免疫疾患、人工透析、骨疾患、貧血、喫煙、他に遺伝的な要因

昔、大学病院にいたころ、骨転移時に使用した場合、MRONJの因子はなにかと研究していました。
研究途中で私は、浜松に出向したので他の先生に続きをお願いしました。
2021年には、現西部医療センター歯科口腔外科部長の加藤先生に引き継いで頂き、論文にもなっています。
論文には、常勤退職後でしたが、名前を載せて頂きました。

A retrospective study on the incidence and risk factor of ARONJ
Shinichiro Kato; Hiroyuki Takashima; Shota Furuno; Mari Kako; Michinori Maeda; Sumiyo Hishida; Hironori Miyamoto; Yasuyuki Shibuya
JOURNAL OF ORAL AND MAXILLOFACIAL SURGERYMEDICINEAND PATHOLOGY 33 (5) 489 - 493 2212-5558 2021/09

骨転移の患者のみを対象としていますが、低カルシウム血症と投与回数が危険因子ではないかと示唆されています。
あと、BP製剤からデノスマブに移行するのもリスクと考えられました。

⑥発症メカニズム
MRONJは口腔外科の分野では10年ほど前はホットな内容でした。
誰にもわからず、基礎研究も少なかったので、多数の研究者が基礎研究を報告しています。
ただ、動物実験を行う上でMRONJと同様な状態にするのは難しいのです。
このモデルとなる動物モデルができたら、それでも注目論文となります。
私も基礎研究をしたかったのですが、モデルがなく断念しました。


私個人の思いですが、VEGFという血管内皮細胞増殖因子が大きくかかわっていること考えていました。
ただ、もう研究者ではないので、それ以上は妄想世界です。
誰か研究して論文報告してくれないだろうか。

 

次回は、ではどのくらいの頻度で起こるのか?予定します。

 

院長

前田道徳

名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。

同大学の医学博士。

日本口腔外科認定医。

米の木まえだ歯科

日進市米野木町丁田119-4

2025年11月27日

薬剤関連顎骨壊死③

⑦MRONJの発症頻度
薬剤によってバラバラです。

BP製剤では?
癌疾患の骨転移に使用する高容量投与の場合はリスクはあがります。
AAOMS(アメリカの学会)の2022年お報告では、5%未満とされています。
日本での報告では、1.6~12.4%とバラつきがあります。

国際的には骨粗しょう症についかい低用量の場合は頻度は低く、0.001~0.01%程度とされています。
これは、BP製剤関係なく、抜歯などを行った際に骨壊死の発症率が0.001%未満とされています。
そのため同等か、わずかに高い程度と認識されています。
なので、整形外科学会などは、骨粗しょう症に使うBP製剤の骨壊死リスクはほぼないと判断されています。
AAOMSでも同様な報告がされていますが、日本人の骨質というものがあります。
日本での統計は、様々ありますが、BP製剤内服患者の骨壊死リスクが0.104%と高いです。
薬剤関係ない骨壊死リスクが0.0004%だったとされており、欧米より高い数値となっています。

このように日本での発症リスクは高いとされる報告は他にもさまざまあります。
同様に台湾人でも高いとされています。
アジア人においてはリスクが高いのでは?と思われていますが、結論付けはまだ出来ないです。

デノスマブでは?
高容量投与での報告では、様々あり1~2%程度とされるものもあり、他には3.6~33.3%という報告もあります。
一見、デノスマブの方がBP製剤よりリスクが高いようにも見えますが、まだ結論は出ていないです。

前回記載した現西部医療センターの加藤部長に引き継いで頂いた研究では、私がやっていたころからデノスマブの方がリスクが高い傾向にありました。
最終的には、BP(ゾレドロン酸)製剤が1.9%、デノスマブが9.1%でした。
これでも一見はリスクに差があるように見えますが、この研究結果だけでは一概には言えないというのが、現状の結論です。

低用量使用量では、日本では事前の臨床試験で0.2%と報告されており、そのほかの研究でも0.133%とされています。
国際的には、BP製剤同様に低用量の場合は、ほぼリスクとならないという判断ですが、日本では高いという見方もされています。

⑧MRONJを予防するには?
あくまでポジションペーパーですので、見解であることを十分に理解する必要があります。
こうすれば、大丈夫という話ではないです。

高容量投与の場合は、前述しているようにほとんどの研究で1%以上の発症リスクを示しています。
1%というは非常に高いリスクです。
そのため、投与前に可能であれば、歯科受診を行い、リスクとなる歯牙は全て処置をするべきであるというのは医科歯科ともに共通の認識です。
ただ、抜歯処置などを行い創部の経過をみるのに最低でも3週間ほど欲しいというのもあり、全てが事前に処置できるわけではないという現状です。
少なくと歯周病管理などは厳重に行うべきだと思われます。

で、実際の診療所でよく対面するの骨粗しょう症でBP製剤を内服している患者さんです。
抜歯が必要になって、休薬って必要ですか?って言われます。
正直申し上げて、まだ不明です。
ポジションペーパーの文章をそのまま
「休薬による利益が得られないとの結果から、現状において休薬の有用性を示すエビデンスはなく『抜歯時にARAを休薬しないことを提案する(弱く推奨する)』とした」
※ARAはBP製剤やデノスマブ

つまり、休薬しない方がいいんじゃないかなという弱い見解です。
これは、せっかく骨粗しょう症のために内服しているのに、休薬して骨密度が低下して骨折したら元も子もないではないかといことです。

薬剤別でみてみます。
BP製剤の休薬は「長期投与例でも抜歯時の休薬による利益が示されていないものの、BP製剤投与が3年以上の患者では、患者の安心を高める意味で一考の余地がある」
デノスマブは、休薬でが長期になると椎骨骨折が増加する可能性が示されており、デノスマブにおいては中止しないことが望ましいと考えられています。

ここからは個人的な見解を書きます。
骨粗しょう症におけるリスクの話です。
骨転移などで使用する高容量は、話がややこしくなるので今回は割愛します。
日本人では欧米での報告ほどMRONJのリスクは低くないと考えています。
なので、BP製剤内服患者において考慮しなくて良いとは考えていません。
しかし、休薬は必要ないと考えています。

完全なる個人的な考えですが、休薬してもあまり意味がないと思っています。
BP製剤は、前々のコラムに書きましたが、骨の中に吸収され、それが破骨細胞に効果を示します。
骨は毎日代謝をしているものの、骨が全て代謝されるには数年単位でかかるとされています。
つまり、数カ月休薬したところで、あまり意味がないと考えています。

デノスマブは、半年に1回の投与のため、投与から4か月目に抜歯を行います。
デノスマブの骨粗しょう症で使用される薬剤は、プラリアという薬剤があります。
代謝期間などは、不明とされていますが、血中濃度は数日もすれば排泄されます。
サル研究では生体内の異化により消失していくと推察されています。
モノクロール抗体が長期間身体の中にとどまるとは思えないと考えています。
この4か月目頃というのは、ポジションペーパーにも言及されています。

ただ実際の臨床では、気付いたら整形外科側で休薬が始まっていたり、患者さんの強い希望があったりと、個別に考えています。
患者さんの骨密度の現状などが一番大事で、そこから考えましょう。
3回わたり、かなりガチコラムを書きました。
分からないことがありましたら、一度ご相談ください。

 

院長
前田道徳
名古屋市立大学口腔外科に研修医から10年以上勤める。
同大学の医学博士。
日本口腔外科認定医。
米の木まえだ歯科
日進市米野木町丁田119-4

2025年12月01日