親知らずの話①

「親知らずって抜かなければいけないんですか?」

ってよく聞かれます。

特に斜めになっている親知らずを残すメリットはほとんどなくてデメリットばかりです。

一番大きなデメリットは急に痛くなることがあることです。

このタイミングは、誰もわかりません。
一番奥にある歯なので、日常での歯磨きでは不十分なことが多く、虫歯になったり、周りの歯ぐきが不衛生になります。
少し、歯肉炎みたいにシクシクするなと思ったら、急に腫れて痛みがズキズキしてきます。

年末年始の前だったら・・・
(年末年始には近くの歯医者さんは休みの場合が多くて、緊急歯科診療所に行くしかない)

海外旅行中だったら・・・
(海外旅行の保険には歯科治療が含まれないプランもあるので、注意が必要)

大事な受験前だったら
(腫れた場合、薬を服用しますが、すぐに改善するわけではありません。私が学生だったころは、歯科医師国家試験前には抜いておくようにと大学側からのおすすめがありました。)

大学病院時代には、患者さんとともに色々悩んだケースがあります。

発展途上国に海外出張中で一時帰国しているが、親知らずが痛いが、次週にはまた出張に行く。帰ってくるのは来年。

ある程度の企業の海外出張の保険には、歯科治療が含まれますが、まずその国の歯科治療レベルが非常に低い場合・・・不安ですね。

妊娠中の親知らずの痛みがでたケースも、使用できる薬剤などに制限が出ることなどから、疼痛のコントロールに不安がありました。

虫歯の痛みの場合は、多くケースで抜歯以外に改善方法がありません。
この場合は、患者さん自身の都合などに合わせることはできないことが多いです。

ただ、結論の前に、大なり小なり親知らずを抜いて痛い思いをするのは間違いありません。
単純に怖いし避けたい気持ちはある人間ですから当然あります。
私個人も痛い思いは避けたい気持ちでいっぱいです。

結論として、歯医者としての考えとしては
『痛みがないうちに、自分の都合に合わせた日程で、計画的に抜歯をすることがオススメ』
と思います。

2022年09月10日